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- パソコンで一人ですぐ音楽作れる今の状況ってのは
ニューウェーブ時代とは似てないですか?
- 田島
- 同じかもね。
でもね、機材はあってもそこにニューウェーブがないと!
- 木暮
- そのスピリットがないとね。
- 田島
- あの頃はいろいろ謎もあったけど、今は全部おおっぴらでしょ。
なんだこれは?ってのは一切ない。ぜんぶバレてる。
わからないものもすぐwikipediaで調べれる。
- 木暮
- ニューウェーブの頃は、得体のしれない魅力があって
始めはそれがなんだかわからないんだけどさ、
もうそれにとり憑かれちゃったんだよね。
- 田島
- クリエイティヴとか表現の衝動へ誘われるような匂いがあった。
今の音楽シーンにそれがあるのかどうかって思うな。
- 木暮
- そこまでゾクゾクした時代ってそれ以降もないかも。
いまだにそれをひきずっちゃってる。
ニューウェーヴがなかったらあんなに音楽かっこいいと思わなかったな。
- 田島
- 今ごろ普通に会社で働いてたかもね。
- 木暮
- サラリーマンになってるね。
- 田島
- そうだよね。ニューウェーブがなかったら、
高校くらいでロックはもういいやってなってたと思う。
曲作るとかっこいいとか、録音したいとか、
あのミュージシャンみたいなかっこしたいとか。
- ー
- ニューウェーブ以降は音楽シーンでなにか刺激的なものはなかったですか。
- 田島
- ヒップホップがきた時にね、あ、ちょっとなんだこれは?
って思ったけど、自分はそっちにいかないって思ったね。
クラブいってもブレイクビーツでずっとつないで踊ってたりしてさ、
そんなの見たことなかったから驚いたけどね。
RUN D.M.CとかLL Cool Jとかいたけど、
やっぱりあのニューウェーブのカッコよさにはなぁ……。
- 木暮
- でも、俺はRUN D.M.Cくらいまでは
ニューウェーブの一種としてみてたかな。
- 田島
-
Grandmaster Flashもそうだったね。
ニューウェーブ聴いてる感覚でみれてた。
PUBLIC ENERMYくらいからはもうヒップホップとして
確立した感じがしたけどね。
- ー
- 2000年以降の80’Sリバイバルについてはどう思います?
- 田島
- ブームももう終わったかなと思いきや、だらだらとまだ続いてるよね。
- 木暮
- もう基本的な下地にになって定着してる気がするね。
80年代って一回ダサいものになったけど、もう消えない気がする。
- ー
- ニューウェーブや80’sって一回はずかしいものになりましたよね。
CUREが好きだったなんて言えないみたいな。
- 田島
- 90年代に一回なったよね。その頃、自分もソウル一色だったしな。
- ー
- 黒は黒でもちがう黒ですね(笑)。CUREやBAUHAUSの黒一色とは違う。
- 田島
- よく、僕も子供の頃から黒人音楽を聴いてるんでしょ?って言われてたり、
中学生くらいの時からCurtis Mayfield聴いてるように思われてるけど、
ぜんぜんそんなことなくてさ、20歳すぎてから聴いたのにね。
今は60年代も70年代も80年代の音楽も並列になったのかもな。
僕らの時は80年代は俺らのもの!、
それ以前の音楽は年上の人のものみたいな感覚があった。
でも、今は並列になって若い人もそっから選べるようになったのかもしれない。
ただ、今の80’s好きとは加減が違うよね。
そういう人はファッションとして好きな部分も大きいだろうけど、
僕らはもっと切羽詰まったものがあったから。
- 木暮
- より所だったからね! それがないと死んでしまうみたいな。
- 田島
- それこそがオレだ!みたいな感じだった。
だからこそ、俺たちニューウェーバーだと。
最近はもうねニューウェーブでいる自分を隠さずにいこうと。
- 木暮
- 隠してたんだ(笑)でも、かくしようないと思うよ。
田島のデモとか聴かせてもらうけど、やっぱ出ちゃってるもん。
- 田島
- 出ちゃってるか。
- 木暮
- ニューウェーブを通過してるかどうかで作る曲がぜんぜん違うもん。
- ー
- そういえば、前回のツアーの前に、
最初期のRED CURTAINのテープが出てきて二人で聴いたんですよね。
- 田島
- そうそう! 二人で聴いて大笑いしたよね。
- 木暮
- すげぇー! こんなカッコよかったんだ! って言ってね。
- ー
- 私も聴かせていただきましたけど、あれはすごいですね。
日本でニューウェーブっていうと大概がテクノポップになっちゃうでしょ。
でも、そうじゃない方向でのニューウェーブサウンドで。
- 木暮
- 生バンドで人力だけで、
どう聴いてもニューウェーブみたいなのっていないよね
- 田島
- そうなんだよね。
ROUGH TRADEみたいなことやってるのって当時はほとんどいなかったし、
今もいないんじゃないかな。
- 木暮
- あのまんま録音してたら、
海外とかでもものすごく評価されたんじゃないかなって思うな。
- ー
- かなり高度なことをやってますよね。
- 木暮
- こないだのツアーでも初期の曲をやったけど、
今までで一番難しかったね。
- 田島
- 初期の方が難しかったのかもね。
とにかく全部のアンサンブルを考えて作ってた。
最近でもSTROKESとかARCTIC MONKEYSなんかは
アンサンブルを緻密に工夫して考えてるでしょ。
アンサンブルを工夫して考えていくと難しくなるのはしょうがなかったのかもね。
- 木暮
- 考えてみれば、オリジナル・ラヴもその系統のバンドだったのかもね。
- 田島
- 近いのかも。とにかく今は始めた頃の気持ちを残して
音楽をやってやろうって気持ちもあります。
- 木暮
- 10年後、いや20年後もニューウェーヴ!って言ってるよ。
好みもそんなに変われないし。
- 田島
- そのままやっちまえよ!みたいな開き直りもあるよ。
それがこの前のライヴで自覚できたな。
- ー
- 夏のツアー『HOT STARTER 09』では、
4人編成で初期の曲もプレイしてましたね。
- 田島
- あれはもう新境地というか、ニューウェーブ最高!
俺ってニューウェーブだったなって再確認ライヴだったね。
そういう自分探しに出てみたら、見つけちゃったような。
- 木暮
- 俺が思ってたオリジナル・ラヴってこれだったなって思ったよ。
初めて観てうわぁーすげえ!って思ったオリジナル・ラヴは
あんな感じだったんだよね。田島がギターをガシガシ弾いてさ。
- 田島
- お客さんもいっぱい来てくれましたが、
ほとんどの人があのオリジナルのオリジナル・ラヴの姿は
観たことがなかったと思うしね。
でも、喜んでもらえたみたいで本当に嬉しかった。
やっぱ少ない編成でやるのってロックだよね。
- 木暮
- うん、4人編成って熱いよ。
- 田島
-
4人の黄金律ってあるからね。あれが快感になっちゃったんで、
しばらくあの編成でいきたいね。自分がバンドやってきて、
かっこいいなって思える一番芯の部分が実現できるなと思ったしね。
すごい可能性を感じてますよ。次のツアーも楽しみにしておいてください。